原子力施設に事故が起きた場合、いろいろな放射性物質が施設から放出されます。 放射性ヨウ素もそのひとつで、事故により大量に大気中に放出されると、呼吸や食物とともに体の中に取り込まれます。 取り込まれた放射性ヨウ素は体内で甲状腺に集まるため、甲状腺ガンの原因になる恐れがあります。

Q1:なぜヨウ素剤を飲むのでしょうか?

A1:事故により大量に放射性ヨウ素が放出された場合、ヨウ素剤を飲んでおけば、尿や便などから放射性ヨウ素が排出され、甲状腺への集積を防ぐことができるため、発ガンのリスクを低減することができます。

Q2:ヨウ素剤はいつ飲むのが効果的ですか?

A2:ヨウ素剤は放射性ヨウ素が体の取り込まれる前、24時間以内、または直後に飲むのが理想的である。 この時期に飲めば甲状腺にたまる放射性ヨウ素の90%以上を抑えることが出来ます。

Q3:ヨウ素剤は何回飲みますか?

A3:飲む回数は1回とされています。それ以上服用することが必要と予測される場合には避難を優先する
とされています。

Q4:ヨウ素はどれくらいの量飲みますか?

A4:ヨウ素剤を飲む量は年齢によって異なります。その量を年齢別に表にまとめました。

年齢 ヨウ素量 ヨウ化カリウム量
新生児 12.5mg 16.3mg
生後1ヶ月から3歳未満 25mg 32.5mg
3歳以上13歳未満 38mg 50mg
13歳以上 76mg 100mg

Q5:市販されているうがい薬はヨウ素剤の代わりになりますか?

A5:うがい薬などの市販品は内服薬ではありません。これにはヨウ素以外の成分も多く含まれ、体に有害な作用を及ぼす可能性のある物質も含まれます。たとえ飲んだとしてもヨウ素含有量が少なく、放射性ヨウ素が集まるのを抑制する効果がありませんのでヨウ素剤の代わりに飲むのを絶対にやめて下さい。

出典:安定ヨウ素剤取扱いマニュアル