幼稚園、小学校、中学校、高等学校には、学校医、学校歯科医と共に、学校薬剤師を必ず置くことになっています。 普段、皆様の目につくことがないと思いますが、学校薬剤師の仕事は、学校の環境衛生について検査をし、児童・生徒の快適な学校環境をつくるために、色々と指導、助言を行っています。

保健室及び理科室の薬品の検査(年1回)

この検査は、「学校保健安全法施行規則」に基づき、保健室の薬品や理科室、校地・校舎の薬品類及び灯油について行うもので、薬品の使用上の注意や保管上の注意などについて指導、助言をおこないます。また、理科室の毒・劇物薬品や引火物などは適正に保管されているか、地震などの災害時の対応はどうか、また、不用薬品の廃棄については、水質汚濁防止法などに従って処理するよう指導しています。

教室の空気及び保温の検査、揮発性有機化合物及びダニ等の検査(年1回)

換気が悪いと児童生徒の健康影響などの問題が起こります。そこで、教室内の環境検査を行っています。検査項目としては、二酸化炭酸濃度、一酸化炭素濃度、相対湿度、温度などを調べます。また、検査機関によるホルムアルデヒドやトルエンなどの濃度も検査します。 ダニの検査は、保健室の寝具やじゅうたんにダニがいないかを検査します。

教室の採光及び照明、黒板面の色彩の検査(年2回)

児童・生徒が能率よく快適に学習が行えるように、教室などの照度及び照明環境を定期的に検査をします。 机上での読み書きや黒板面の文字の見え方、教師と児童生徒の表情の判別等、快適に能率的に学習できる環境にするため、適正な照度か検査をします。基準に合わない場合は改善を提案します。また、黒板面の色彩の検査では、黒板面が光ってないか色が薄くなっていないかを検査します。

学校プールの水質及び施設・設備の検査(年1回)

プールの使用期間中に、「学校環境衛生基準」「プール条例」により検査をします。プールは入泳者の体の汚れ、汗などにより、いつも汚染されております。適正に管理がされていないと、プール熱やはやり目などの感染がおこります。そこで、プール水の消毒は基準どおりか調べ、また、検査機関によるプールの有機物などの汚れの具合や一般細菌、大腸菌群などの検査を行っております。

学校給食の衛生管理の検査(年3回)

「学校給食衛生管理基準」に基づき検査を行います。学校給食で食中毒の発生があると、大勢の患者が出るのが特徴です。食中毒菌は、サルモネラ菌、大腸菌、O-157など色々です。そこで、学校給食による事故の発生がないよう衛生的な管理が必要です。
学校薬剤師は給食設備や取扱いが衛生的かどうか使用水、調理機械、器具、食器類、冷蔵庫、温度計などに問題はないかを、定期的に検査をしています。 調理場のある学校や共同調理場では洗浄した食器類に、でんぷんや脂肪の残留がないかも検査します。

飲料水等の水質及び施設・設備の検査(年1回)

「学校環境衛生基準」により、学校の水道施設、設備の点検や清掃は定期的に行われているか検査をします。受水槽や高置水槽に故障や異物の混入がないか、また、飲料水の外観、臭気、味などと、基準どおりの残留塩素が保持されているかを、点検します。その他検査機関により、化学検査のほか、一般細菌、大腸菌群などについて水道法に基づいた検査を行います。

学校の清潔、ネズミ・衛生害虫の検査(年1回)

学校では、給食が実施されるので害虫対策は重要です。また、ネズミや害虫等が学校内に生息することによって、病原体の媒介をして様々な危害を及ぼすとともに、児童生徒に不快感を与え、さらに学習能力を低下を来すことが多くなります。ネズミ、ゴキブリ、ハエ、蚊、樹木の害虫の有無を調べ、 害虫がいた場合は、駆除の方法などをアドバイスいたします。

(参考文献 「学校環境衛生の基準」解説 薬事日報社)